次回の秋開催、休止のお知らせ

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こんにちは、主催者の戸田耕一郎です。

春の開催から一ヶ月以上が経過しました。今更ではありますが、ご来場者のみなさま、出展者のみなさま、関係者のみなさまに御礼を。今回も無事に終えることができました。本当にありがとうございました。

天候チェックで一安心し、初日が終わるとほっとし、2日目の終わりにスタッフみんなで振り返りをして解散する、いつもどおりのVege&Fork Marketでした。

 

 

今後のVege&Fork Marketについてお伝えすべきことがあります。

例年、秋は11月の第1土曜日、日曜日に開催を予定しており、会場側と契約を結んだ上で7月上旬に開催告知、同月中旬から出展者受付開始という流れになっています。

しかしながら、2019年の秋の開催については休止させていただきたいと考えています。

このイベントを楽しみにしてくださっている出展者の方や来場者の方が少なからずいらっしゃること、すでに次回開催や出展に関する問い合わせをいただいていることもあり、その理由も含めてこの場でお伝えしたいと思います。

 

一番の理由は僕自身がイベントの開催を楽しめなくなってきてしまった、ということです。

2010年の第1回開催から常に言い続けてきたことのひとつに「楽しいからやっている」というものがありました。この気持ちがすべての原動力でした。そこに一緒にイベントを作ってくれるチームの仲間がいて、魅力的な出展者の方々が参加してくださり、たくさんの来場者の方が来てくれるのですから、こんなに楽しいことはありません。これまでイメージどおりに進んでいきましたし、本当に楽しくやれてきたことは間違いありません。当時33歳だった僕は独立したばかりということもありましたが、Vege&Forkによって自分の未来が少し拓けたような気分にもなりました。

個人的な話になりますが、共同の主催者である妻と自分たち家族をよりよい方向へシフトさせるためのアイデアとして、Vege&Forkの運営を継続しつつも2014年に東京を離れ、島根に移住しました。妻は翌年ベジなカフェをオープンし、僕もカフェを一緒に運営しながら自分の仕事をはじめるようになりました。気づけば5年目を迎え、それなりの充実感を得ながらスローライフとは無縁の暮らしを続けています。

毎年2月から僕と妻とでVege&Forkの準備をはじめます。5月に春の回を終え、6月を挟み、7月からは秋の開催に向けてまた準備がはじまります。今のイベント規模とリソースを考えるとそれくらいの時間はかかります。

時間の経過とともに、いつしか僕のVege&Forkに対するアクションはマンネリ化してきてしまいました。

たしかVol.16だったかと思いますが、「イベント慣れしてくることがあります。作業化するのではなく、今日僕たちはこのイベントに何をしに来たのか一緒に考えてみませんか。どうか初心を忘れずに。」みたいなことを朝の挨拶の場面で言わせてもらいました。慣れていくと作業効率や合理化を考えたくなるのが人間です。僕も、そして出展者さんの多くもVege&Forkに慣れてくるわけです。なかなか初心を忘れずに新鮮に取り組むことがしづらくなってきます。

慣れで怖いのは漫然としてくることです。

僕自身もおもしろそうな出展者さんを自分の足で探すことを怠り、いつしかネットの力だけでVege&Forkを完結させるようなやり方になっていきました。効率的に、ルーティン化しようとする。そうなってしまうとエッジが効いたおもしろいことができなくなってきます。仕組みができればあとは手放しで勝手におもしろくなる、そんなに甘いものではないですよね。

 

「忙しいことを理由にそうしてしまっている自分」のことは自分が一番わかっています。「募集したら申し込みが来る」ことに胡座をかいていたとも言えます。いつもリピートしてくれる来場者さんが喜んでくれるお店はどこかないかな?というアクションを忘れてしまった。そんな自分に対して先のような言葉が出てきたのはきっと自分に言いたかったのかも知れません。

ここ数回開催の中で、出展者さんたちから聞く言葉の中に異変が起きました。「こっちのエリアには人が流れて来ない。(=売り上げが出ない)」「客層が変わった。(=以前より購買意欲がある人が減った)」「仕入れを減らしている(=来場者が減ったから)」「もっとここに滞留してもらえるような工夫が欲しい(=店舗に立ち寄ってもらえていない)」というようなことです。「似たような店が多過ぎる」という意見も聞きました。

もちろんショックでしたし、正直、焦りも感じました。でも現実は正しいと判断すべきで、すぐに受け入れました。「ああ、そうか。これが出展者さんの正直な感想なんだな」と。(喜んでくれる出展者さんも毎回それなりにいます。が、今日はそこには触れません。)

仕組みが大方できればあとはやりやすくなるのは当然です。でもそれだけではみな飽きてしまう。実際そういう風になってしまった。おもしろさを兼ねて来場者さんにリピートしてもらえるよう続けていくことは簡単ではないなと本当に実感します。

「いいイベントだね。こういうのは主催者の雰囲気がそのまま出るものだよね。」とはよく言われました。とするならば最近こういう風に言われる言葉も「主催者の雰囲気がそのまま出るものだよね」ということでしょう。新しい風が吹いていない。

初期の頃から出展してくれて、最近ではイケてるお店を呼んできてくれるほど貢献してくれる出展者さんと最近話す機会がありました。彼はイベント出展の実績も経験も豊富で、昔からのVege&Forkを知っていて且つ自分の事業をゼロから立ち上げているので僕は彼の言うことにとても信頼を置いています。そんな彼に率直な感想(というか厳しめな指摘)をもらいました。

でも、やっぱり、当たっている。そのとおりだなと思える指摘でした。今の僕は耳が痛い意見こそ受け入れるべき時期なのだと感じています。

 

もうひとつ、春の回で感じたことがありました。ある出展者さんの商材管理に気になることが起きたり、イベントに漂う雰囲気を無視する行動をとる(あるいは全く気にかけていない)出展者さんがいたり、とここまではまあいいのですが、スタッフがやんわりと注意を促すと微妙な反応が返ってきました。多分伝わっていない。こちらとしては「あれぇ。。」という感じです。

そういう話をチームのメンバーに聞くと僕も正直イラっとしてしまうのですが、時間を置いてふと考えてみると、やっぱりイベント自体にそういう雰囲気が出始めたんだなと感じました。これは明らかな違和感であって、流せる感覚ではないことでした。

本当はもっと柔らかくて、誰かに対して譲り合い、牧歌的な雰囲気に包まれるやさしいイベントにしたいのに、何か小さな異変が起きている。

いいこともありました。心から素晴らしいと思えるお店が来てくれました。「ひとつのお店でお腹いっぱいになるのではなくて、他の店舗のものも食べてもらいからワンコインのランチにした」「ゴミになるのがイヤだからランチのパッケージはコンパクトで捨てやすいペーパー仕様にした」という企画で出展してくれたのです。店舗名を書いてもいいかな、横浜市青葉区にあるペグルカフェです。

自分の売り上げだけではなく、ほんの少しだけ、他人に目を向けたささやかな配慮を感じさせてくれる素晴らしいコンセプトです。スタッフの中でも特に共有できた驚くべきニュースでした。そういうことって言うは易し、中々できることじゃないと僕は思うんです。

それが素晴らしいからみんなもそうしましょうと言いたいわけではありません。自分の店の売り上げをきちんと立てることは最優先です。ただ、そういう風に考え、やってくれる出展者がVege&Forkにはいるんだということをお伝えしたい。そんな風に考えられる人が集まるマーケットイベントって商品以上に何かを伝えることができ、言葉以上に何かを感じさせるチカラがあるものだと僕は思うんです。人をほんの少し幸せな気分にしてくれる場所、ひと。だから開催する価値があるんだと。

売り上げがあってこそ、生業と言える、だからきちんと買ってもらえる努力をしよう、ということもこれまで言い続けているのでちょっと矛盾しているのですが、誰にとっても気持ちいいマインドと売り上げを2つ追うようなことは不可能なことではないと思うんです。人を変えるとかイベントをもっとマネージメントするとかそんな気は全くないですが、少なくとも主催者としてそういう風に思うのならもっと声に出さなければいけないなと思いました。

 

ちょっと逸れました。話を戻します。

今回を終えて、ポジティブな気持ちで一度このイベントをリセットしたいと思うに至りました。次回はいつとははっきり言えませんが、もし次回開催があるならばもう一度出展数とカテゴリー枠を考え、出展者さんたちにもう一度向き合い、つくりたい世界観をもう一度イメージし、その上で具現化できるサイズでやるべきなのだと考えました。主催者パートナーでもある妻ともよく話し合いました。

ここ数年マルシェや〜市、〜マーケットもかなりの数が立ち上がっていますし、目や舌がこえている人も感度が高い人も増えていると実感します。その中でイベントを継続させるには質が伴わなければ、続けることが容易でなくなってきます。出展数が多いとかイベント規模がどうのこうのということではないんですよね。

大衆的なイベントとして色々な人たちが関わっているのだから「主観を抑えて、誰かのためにやる」という考え方と「(それはわかりつつも)最後まで主催者がやりたいようにやる」という2つの側面があるように僕はVege&Forkを見ているのですが、僕はやっぱり後者でした。というかそういうタイプの人間でありたい。人のためにやるという気持ちは弱くはないと思っていますが、それ以上にどれくらい自分が満足できるか、意味を見い出せるかということに執着してしまうんですね。こんな風に考える主催者もいるんです。

 

様々な感じ方やご意見があるかと思います。このままのカタチでもあと数年続けることはできると思いますし、10周年とか20回目の開催という区切りもたしかにありそうです。でも僕はそこの数字よりも、今、どういう気持ちでこれに向き合っているのかを軽んじることはできない、そんな心境です。

ダーク&ヘヴィになっているわけではありません。もう一度僕自身が楽しく思えるVege&Fork Marketを取り戻したい。そのために考え抜いた結論です。

 

今回写真を少しだけ撮りました。気に入った一枚です。

 

【2019年7月9日:追記】

思った以上の方々がこの記事を読んでくださいました。SNSの書き込みや個別メッセージ、メールをくださる出展者さんも思いの外多く、びっくりしました。それらすべてが温かいメッセージで、中にはこちらも読んでいて涙が出るほどの気持ちを伝えてくれる方もいました。こういう出展者の方々や来場者のみなさんと過ごせた時間というのは僕たち運営側の財産です。大切に心の中にしまっておこうと思います。

もちろん残念に思う方もいらっしゃいます。そういう方の気持ちも僕は十分わかっていますし、言わずとも届いています。完全に終わりを告げたことではありませんが、やるべき理由が明らかになったときに始動することはあるとは思います。まずは時間を置きたい。それだけです。

まずはこれまでのところ、本当にありがとうございました。

Vege&Fork Market
戸田耕一郎